講座③「日蓮教学と中古天台教学の検討」第5回講座報告

講座③「日蓮教学と中古天台教学の検討」第5回講座報告
2016年8月20日 commons
平成28年8月20日、花野充道先生の第5回目の講義が行われました。
天台大師の『法華玄義』巻二上に説かれる「絶待妙釈」の問答については、妙楽大師
湛然が「教、本迹、および観心と展転して相い絶す」と注釈しているので、この文は
「四重相互興廃」ではなく、「四重展転興廃」で解釈すべきである、と説明されまし
た。
日蓮聖人は『十法界事』と『立正観抄』に、中古天台の「四重興廃」を受容されてい
るので、門下の間で、教相における本迹勝劣と、観心における本迹不思議一の関係が
問題になった、と述べられ、さらに方便品の読・不読をめぐって、天目と日興と日向
の解釈が対立し、その後次第に本迹勝劣派の教学と本迹一致派の教学が形成されてい
く、と結ばれました。
また質問に答えられて、日蓮門下の教学には、大きく分けて、法華経至上主義に立っ
た教判(権実勝劣・本迹双用)、本門至上主義に立った教判(本迹勝劣・種脱化用
異)、題目至上主義に立った教判(種脱勝劣)があり、それらが複雑にからみあって
教学史を彩っている、と説明されました。
次回は、本迹勝劣と本迹未分、四重興廃と止観勝法華などの教理についてお話してく
ださるそうです。皆さまのご聴講をお待ちしています。